一番手前の小刀は師匠に頂いたもの
下手な研ぎでずいぶん短くなった
少年時代僕のまわりにはフナとかハヤとかコイ科の魚しかおらず、それをミミズとか食パンだとかで釣っていた。それはそれでとても楽しかったのですが、当時大好きだったマンガ”釣りキチ三平”に出てくるマスのカッコ良さ、冷たくキレイな水にしか住まないとゆう神秘性、魚が魚を食うとゆう衝撃!しかもそれをニセモノのエサを投げて釣るとゆう・・・その時からマスは僕にとって憧れとも言うべき特別な存在となった。そして大人と言われる年齢となり、琵琶湖でのバス釣りにドップリとはまり、自他共に認める釣りバカ道へ・・・気が付けば自分でルアーを作っていた。そうなると当然知ることとなるのが、究極のハンドメイドルアーウッドベイト、目が釘付けになった。学生の頃より芸術関係に少なからず興味があった為か遠藤龍美氏に対する尊敬の念が日に日に高まっていくのであった・・・
そんなこんなで弟子入りを決意したどこの馬の骨とも分からない僕を、遠藤さんは温かく迎え入れて下さり、この後5年半に及ぶ修業期間中家族同様に面倒をみて下さいました。この修業時代、技術はもちろんのこと、モノ作りをする者としての誇りなど他では決して得られないものが得られたと思う。この頃、ひんぱんに通ったのが日光中禅寺湖。子供の頃からの憧れだったトラウトフィッシングがついに始まる。沸き立つ心とは裏腹に、狡猾なマスたちはなかなか相手にしてくれなかったが、ワカサギが岸寄りする頃、覚えたてのヘタクソなグリグリに騙される奴もたまにはいたりして美しい湖岸の風景と共に忘れえぬ思い出となっている。
すばらしいコンディションを誇る
中善寺湖のブラウン

塗装前こんな感じです
その後独立し、Masugaskyというブランドを立ち上げ妻と二人で憧れの地北海道に。狙うは日本屈指の透明度を誇る神秘の湖、支笏湖スーパーレインボーそしてモンスターブラウン
僕はルアーというモノが好きだ。雰囲気的にはフライフィッシングの方が好みなんですが、ルアーフィッシングにこだわる理由のひとつにそれがある。だからいくら性能がよくても、言葉は悪いが子供のオモチャにしか見えないようなルアーは使いたくないし(嗜好は人それぞれなので個人的な意見として読んで下さい)そうゆうルアーで釣れても本当の満足は得られない。師匠もよく言っておられたが、自然が創り出す造形は本当に美しい。リアルであるかないかは別として、美しいフィールドと美しいトラウト達にマッチしたルアーを作りたい、そしてなによりも自分自身、誰よりも魚が釣りたい人間だからして抜群に釣れるルアーを創りたい。釣りもルアー作りもまだまだ勉強が足らないのですが、そんな気持ちでやってます。
愛用のハンドピース
追記
今や世界に誇る日本のルアーのデザイン、その源を辿れば必ずウッドベイトが見えてくる。有機的なフォルム、浮き彫りの顔、立体の目玉、側面をフラットにした形状、透明感をも表現した塗装等今では誰もが当たり前のようにに思っているルアーのデザインも元はウッドベイトのオリジナルだ。リアルというコンセプトにおいても、機能を併せ持った独自の解釈に基づいた表現であり、そういう意味では単なる生き写しという意味のリアリズムとは一線を画す。それが”本物以上に本物らしい”と言われたゆえんだろう。独創性という点においてもウッドベイトは特別な存在だと思う。たとえば今流行りのリップレスミノーも、ウッドベイトFT・STシリーズは20数年も前からレイクトローラー達の定番として使われてきた。多くの情熱と才能ある人達によって様々な形で進化してきたルアーとその業界において、遠藤龍美という人が与えた影響は計り知れないものがあると思う。
この国のハンドメイドルアーの歴史も深まり、今また静かにそして熱く盛り上がりをみせている。今や星の数ほどもある高機能を謳う大量生産のルアーに飽き足らずハンドメイドに目を向ける人がこれほど多いのは何故なのか?西洋的な合理主義には満足しきれない国民性とアングラー個々が持っている夢やこだわりがあるからではないでしょうか。単なる飾り物ではなく実際にフィールドで使う道具としてこういうモノが存在することは文化という視点からみてもすばらしいことだと思う。ひとえに、偉大なる先輩諸氏、支持して下さるアングラー、そしてその価値に値する魚達がいてこそだと思います。